おまけ

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「君たちが、い、いくら認めたとしても、だね? 親戚が……」 声がひっくり返りながら尚も言い募る大叔父に、俺も一言言ってやる。 「親戚なんて関係ない。俺と祈里は既に籍を入れているし、俺が跡を継がない時点で口出しされる覚えは無い」 大叔父が俺を末っ子と見ているせいか、小馬鹿にしたような表情をして鼻で笑った。まぁ俺を小馬鹿にするのは仕方ない。実際俺は何の権限もないし。だけど、このオッサン、分かってるのかな。俺達三兄弟は、あの会社を継がないってだけで、別に親子を辞めるとは言ってないんだが……。 「あの……私がここにいることで不仲になってしまうようなら、帰りますけど」 祈里が恐る恐る口を挟む。うん、まぁ、こんな状況は見たくないだろうな。済まない、祈里。 「そちらのお嬢さんはよく分かっているようだな。そもそも君のような一般庶民と我々とでは生きる世界が……」 一気に捲したてる大叔父の顔目掛けて俺は水をかけてやった。手近にあったのがそれだったからだが、水じゃ直ぐに乾くか。何か嫌がらせになるような物は無いかな。 「な、何を!」 あまりの怒りに身体が震えている大叔父。そんなのは怖くないが、祈里が驚いた顔を俺に見せて、視線だけで大丈夫なのか案じている。
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