第一話

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☆ 「という感じでして、知らなかったです」 「なんだか騙したみたいで心苦しいな。でも、シャルムの母親はちゃんと了承していたぞ」 「ああ。母に聞いてみても、良いところだから、と一点張りでして」 「そうか。とりあえず鍵を渡しておくよ」 ルダーは職場の鍵をシャルムに渡した。 「ここはお前専用の職場みたいなものだ。改築しても良いかもな。とにかく入ってみなよ」 「はい」 シャルムは鍵をドアノブにさしこみ、捻る。扉が開いた。 中は、殺風景だった。部屋は大きく二つ。職場用とプライベート用だ。職場用の部屋には棚が隅に二つあるだけで、他には特にない。 プライベート用も大して変わらない。クローゼットとテーブルが追加されているくらいで、あとは必要最低限の設備があるだけだ。 「まあ、出来立てならこんなもんだろ」 「そうですね」 「よし。じゃあ、街を案内するから。そのために俺が来たわけだしな」 「ありがとうございます」 「いえいえ。ようこそ。船の街、オールラント号へ」
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