3人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
もうだめだ
ということは分かっていた。
問題なのは、駄目だということが分かっているのは俺だけだという事であり、俺自身、どうして駄目なのかを、論理的に筋道立てて説明できないことだった。
誰も納得してくれない。
表面上は上手くいっているのだから、当然と言えば当然だ。
月刊3本に、隔週1本。不定期な執筆を含めれば、もういくつ仕事を抱えているか自分でも分からない。おまけにそれら全てが、そこそこ売れていると来ている。
世間一般の価値観からすれば、俺は間違いなく成功したマンガ家のひとりだった。ただでさえ本の売れない時代、ちょっとした大企業のサラリーマン程度に稼げるマンガ家など、本当に数えるほどしかいない。まがりなりにもその内に入ることができているのだから、文句など言うべきではないのだろう。
それでも。
俺の中には、焦燥と危機感しかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!