僕と妻

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母親から電話がかかってきた。「健吾、おばさんから湘南の別荘を今年の夏はあなた達夫婦で過ごしてください」と連絡がきたとの旨だった。 叔母さんと旦那さんは資産家で良く夏休みや冬休みゴールデンウイークなどまとめて大きな休みがあるたびに東京の邸宅からそこで過ごしていた。 叔母は叔母の旦那さんと一緒に画商をやっていて会社をいくつか経営していて、それらを息子に経営権を譲り、五十代で引退したあとは自由な暮らしをしていた。 僕たち夫婦と私たちの夫婦にも掃除と手入れをかねて頻繁に数週間の期間かしてくれた。 叔母さんは自分たちのこどもは二人いたが彼らは湘南の別荘に興味はなかった。 僕たちの夫婦の子供は二十四歳の長男は大学院を卒業し就職、一つ年の離れた娘は職場恋愛で結婚して家からは子供たちが独立していなくなった。 「湘南の別荘、今年は長く過ごせそうだね」と妻はいった。僕は仕事がフリーランスのイラストデザイナーなのでPCがあればどこでもできる。 「たまには環境を変えてやるのも悪くないわよ」と妻がいった。
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