【突然の決意】

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【突然の決意】

ドアを開けて目に飛び込んできたものに驚いた。 「沙世が先にいる」 9割の確率で私が先にここ『カウンセリングルーム』に来る。今日は珍しい1割の日だったよう。沙世は制服のネクタイを緩め、棒キャンディーを舐めていた。 「小町が遅いんじゃん?ダメだよ時間は守らないと」 「まだチャイムまで5分ありますー」 杉浦沙世、百瀬小町、私たちは教室で授業を受けない。いつもここで課題をこなして出席扱いを受けている。教室に行けない理由はまあ、うん・・・。 「あら、杉浦さん早い」 最後に来たのは優しい顔立ちのカウンセラーの大井先生。私たちの担任のようなものだ。その大井先生まで沙世の登校時間に驚いている。それがなんだか面白くて私は笑っていた。 「早いのは感心するけど飴はダメよ」 「これがないと生きていけないんです。糖分足りないと頭も働かず、課題もこなせない」 「変なこと言ってもダメ」 するとしぶしぶキャンディーを捨ててそのまま沙世は大井先生の机の前に立った。いつもダルそうな立ち方するのになぜか背筋を伸ばしている。大井先生もどうしたの?と聞く。すると。 「今日から教室行くよ、もうここで勉強はしない」
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