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「瀬名くんさ、あんまりしつこくしたら望愛に嫌われるよ。望愛が瀬名くんの家に住むわけがないんだから」
「住むわけがない……か」
瀬名さんは、私を見た。
鋭い視線が、ぶつかる。
胸の鼓動が、速くなった。
「そうなの?望愛ちゃん」
「え……」
「この先、本当に何も変わらなくていいの?」
「……っ」
その言い方は、狡いと思った。
私の心は、きっと彼に読まれている。
私が変わりたいと願っていることを、彼は誰より知っている気がした。
「……わ、私……変わりたい……です……っ」
もっと、ちゃんと、自分の言葉を伝えられるようになりたい。
柊ちゃんとなっちゃんの助けになれるような人になりたい。
そのためには、居心地のいい場所から飛び出す勇気も必要なのかもしれない。
「こんな私でも……変われますか……?」
「もちろん。変われない人なんて、いないよ」
瀬名さんは、私に勇気をくれた。
彼の言葉を、信じてみたいと思った。
初めて、柊ちゃんとなっちゃん以外の人を、信じられる気がしたんだ。
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