秘密のスタート

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一歩、そしてまた一歩、彼が私との距離を縮めていく。 逃げようと思えば、逃げれるはずなのに。 私は、少しも動けなかった。 「だから、僕は君を本気で手に入れるから。覚悟してね」 「……っ」 「とりあえず今日から三ヶ月、よろしく」 余裕の笑みを浮かべる瀬名さんを前にして、私はどんな顔をしていただろう。 私の動きを制する瞳。 何かまだ企みがありそうな、その微笑み。 嘘を言わない唇。 彼にとっての特別とは、何を意味するのか。 全てを信じるなんて、今は出来ない。 でも、始まってしまったんだ。 変わりたいと願ってしまった。 もうきっと、後戻りは出来ない。
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