297人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「柊一朗、あんたやっぱりいい男だわ」
「俺に惚れ直したか?」
「惚れ直した!」
柊ちゃんは自分で惚れ直したか聞いたくせに、なっちゃんが素直に認めると恥ずかしそうに顔を背けた。
シャイなところは、昔から何も変わっていない。
でも私は、そんな柊ちゃんが大好きなんだ。
「やべ!味付け失敗した!」
「もう、何やってんのよ……張り切らないで望愛に作ってもらえば良かったのに」
「今日は俺が作りたい気分だったんだよ」
柊ちゃんとなっちゃんが言い合う声さえ、心地よく感じてしまう。
今まで私は、ずっと二人に守られて生きてきた。
二人から離れて生きていく自分なんて、昔なら考えられなかった。
全ては、瀬名さんとの出会いから変わった。
私が東京に行くと言ったら、きっと瀬名さんは心から喜んでくれるだろう。
その笑顔を想像しただけで、心が満たされていくのを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!