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「で、返事は?」
返事なんて、一つしかないに決まっている。
私は、余裕の笑みを浮かべて私を見つめる瀬名さんに体を寄せ抱きついた。
「……まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします」
「ハハッ」
「ど、どうして笑うんですか……」
「ごめん、つい。望愛があんまり可愛いから」
「……」
相変わらずさらりと可愛いと言えてしまう瀬名さんに、私は相変わらず何の言葉も返せない。
瀬名さんは、私の体を強く抱きしめ返した。
「これから、二人で沢山幸せな思い出を作っていこう。……この先何があっても、僕は君のそばにいる。どんなに苦しくて辛いことがあっても、二人で支え合って生きていけば、必ず乗り越えられると僕は信じているから」
もう、暗い過去に押し潰されなくてもいい。
怯えなくてもいい。
この先もしもまた、暗闇に引きずりこまれそうな瞬間が訪れたら、この瀬名さんの言葉を思い出せばいい。
子供の頃から、普通の幸せに憧れていた。
今私は、沢山の人から愛をもらい、ようやく欲しかった幸せを掴むことが出来た。
私は二度と、この幸せを手放さない。
私がずっと欲しかった幸せ。
それは、愛する人のそばで、笑って生きていくことだ。
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