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葛城の話を聞いている間、望愛が僕から離れようとしたため、僕は咄嗟に彼女の左手を掴んだ。
当然、逃がすつもりはない。
葛城から電話がかかってきた時点で、会社に戻る気なんて1ミリもなかった。
「その件は葛城に任せるよ。だから今日は、このまま直帰するから」
「承知しました。では今夜、詳細をメール致します」
「あぁ、よろしく」
望愛といる時間を少しも無駄にしたくない僕は、彼女の手を掴みそのまま自分の寝室へ向かった。
望愛が戸惑う様子が、繋いだ手から伝わってくる。
電話を切りベッドに座らせると、早速彼女は僕の仕事の心配を口にした。
「あの、会社、戻らなくていいんですか?」
「戻るわけないよ。せっかく望愛がその気になってくれたんだから」
片時も離れたくない。
僕はずっと前から、この日を夢見てきたのだから。
「……ずっと望愛のことが欲しくて仕方なかった」
何度もこの日を想像してきた。
何よりも欲しかったものは彼女の心だけれど、身体も同じくらい僕にとっては価値がある。
正直、こんなにも抱きたい欲望に駆られるのは生まれて初めての経験だった。
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