after last scene

10/33
191人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「篠宮は向こうから声かけてもらっていいな~って羨ましかった!」  と菊池君が言うと、皆一様に首を縦に振る。  そうなのだ。斎は声をかけてもらったおかげで就活をしていない。  エントリーシートや履歴書を延々と書かなければいけない苦行、選考で弾かれる切なさを知らない。 「でもまぁ、篠宮なら普通に就活してもあっという間に決めてたと思うけど」 「お前と一緒にするな、藤代」  斎が憮然とした表情で抗議する。  そうだ、藤代君もほとんど就活せずに決めていた。彼は第一志望の出版社からすんなり内定をもらい、早々に就活とはおさらばしていたのだ。 「っていうかさー、キミタチはほぼストレートで就職決めてるじゃない?!」  杏奈のツッコミに私は思い切りコクコクと同意する。  彼らはなんといっても有名人。大学でもテニスの実績を残しているし、元々華がある人達で、落とされることはなかった。  数社受けた菊池君や進藤君も、結局は自分の希望に合う会社を選り好みしたからだ。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!