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秋元は、まだ半分ほど残っていたお冷やを一気に飲み干した。
「俺は……『自分には霊感がある』って言ったんだよ。」
「……へ?」
なんでよりによってそのチョイスなんだ。嘘つくにしても、もっと何かあっただろ。
「なんとか霊感キャラで生き残ろうと思ってよ……。」
「やめとけって。そういうのは長続きしない。まだあと中学校生活も二年近くあるんだぞ。ずっと嘘はつき続けられんだろ。」
「お待たせしました、ホットコーヒーとロイヤルミルクティーになります。」
店員が伝票とコップと、愛想笑いを置いていった。
「今ならまだ間に合う。白状しろって。」
「ところが、話はもう後戻りできない局面まできてるのさ。」
「……どういうことだよ。」
「ところで齋藤、来週の土曜は空いてるか?」
「あ?……ちょっと待ってろ。」
スマホのカレンダーを確認する。どうやら予定は入ってないようだ。
「空いてるけど……それがどうかしたか。」
「ちょうどよかった。お前には、俺の証人になってもらいたい。」
「は?」
「俺の霊感キャラを疑うやつが出てきたんだよ。そいつらを納得させるために、お前は来週の土曜、俺に霊感があるって証言してほしい。」
「はぁ?なんで俺がわざわざそんなこと……」
「頼む!もうセッティングも済ませちゃったしさ!可哀想な親友を助けると思って!な!な!」
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