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「描きかけやけど、絵、観る?」
「ええの? 描くとこもみてみたい。邪魔せんように気ぃつけるし」
まだ背景は描きこみが必要だが、人見さんはほぼできている。後は背景との調整くらいだ。
結城君とアトリエに入った。
「百音、これどういうこと……」
結城君が絵を観るなり言った。
「誰なん?」
結城君の口調がきつい。
「美術館であった……」
「綺麗な人って男やったん?」
確かに性別は伝えなかった。結城君に身長を確認したときも、特に理由は話さなかった。
結城君が、私の腕を掴んだ。
「俺、ずっと会いたいの我慢してたんやで……それなのに百音は……」
結城君が怒っている。理由がわからない。
「この人のことだけ、考えてたんや……」
確かに考えていたかもしれない
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