ぼくのおじさん

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ぼくのおじさん

 ぼくのおじさんは、なにを考えているのかがわからない。 「よぉ、圭太」  ふらりと顔を出して、片手を上げてニコニコして、ぼくの家に上がり込む。ぼくの家と言っても、おじさんにとっては実家だから、おじさんが上がり込んでもおかしくはないんだけれど、成人した息子を持つ兄夫婦の暮らす家に、四十半ばでひとり身のままの弟が、当たり前の顔をしてやってくるなんておかしい。  ということを、ぼくは大学生になってから、だんだんと思うようになっていた。 「また来たの? おじさん」  ん、と短い返事をしたおじさんは、勝手知ったる感じで冷蔵庫を開けて――まあ、勝手を知っているんだけれど――牛乳パックを取り出した。 「そのまま飲まないでよね」 「わあってるって」  おじさんなら、やりかねない。そんな雰囲気を、おじさんは持っていた。なんというか、物事に頓着しなさすぎる気配をかもしていると言えばいいのか、見た目からしてそうとしか受け取れないというか。     
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