疑念

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晴れてはいるが、雲の動きが早い。 雲がやってくる方向へ視線を移せば、灰色の冬特有の分厚い雲が迫ってきている。 今朝見た天気予報では、夜には雪になるらしい。 まだ室内には日差しが差し込んでいて、それの深さがいかにも冬を物語っていた。 翔平は日差しの端まで視線を這わし、ついでに壁に移す。 壁に掛けられたカレンダーが目にとまる。 カレンダーは真夏のまま、無数の向日葵が咲き誇っていた。 翔平はカレンダーに目を向けたまま、すぐ隣の部屋にあるキッチンで、忙しそうに動き回る華の足音に耳を傾ける。 キッチンから漂ってくる揚げ物の匂いと、みそ汁の香りが翔平の食欲を誘った。 付き合って五年。 華の部屋に来れば、いつもいい匂いがした気がする。 食事の匂いがしない時は、華の好きなストロベリーのお香の匂いがするし、華と寄り添えば柑橘系の香水がふわりと鼻をくすぐる。
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