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大人は見つける
蝉の声が聞こえる。
8月の終わりに差し掛かっても、まだまだ耳に残る声だ。
しかし、夜になるとさすがに静けさを取り戻しつつあった。
ある男性も、夏の夜特有の空気に浸りながら校内を歩いていた。
「夜の校内の見回りも教師の仕事だなんて、ブラック一直線だな」
俺の名前は木村大紀。
この高校で教師をしている。
いつもは学校が契約している警備会社に夜の校内の見回りを依頼している。
これは「日夜校内の安全を考えていることを保護者の皆様に示す」という世間体の為にバカな校長の考えから始まったのだが、8月の夏休み1ヶ月間は警備会社との契約を停止すると知らされた時の予想は見事当たった。
女性職員は対象になっておらず、男性職員でも妻帯者持ちは旅行の予約をすでに入れている、部活の顧問や委員会を受け持っている教師は業務過多ということで免除。
副担任や副顧問といった指導科目以外はサブ業務がメインな比較的若手男性教員に、その負荷は一気にかかってきた。
そうすると木村の高校では被害、もとい担当するのは木村含めて4名となった。
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