乙女の夢と助けを呼ぶ声

2/8
209人が本棚に入れています
本棚に追加
/914ページ
「うん。それはわかる。RPGでパーティーメンバーに入れていたら、それで好感度計算してくれるっていうのは、乙女ゲーム以外でもあるしね。でもさ。うん……好感度二位が絶対ラスボスになって立ちはだかるって、心折れないの?」  亜美に痛いところを突かれて、私は思いっきり「う……」とうめいてしまった。  そう言われると思いっきり誤解されそうだから言う。私だって別にメリバの趣味なんてないし、好きなキャラが死んで悲しくない訳はない。でも。でもさ、だって。 「誰が好き好んで自分の一番の推しが死ぬところを、何回も何回も見ないといけないのよ」 「そりゃそうだよねえ……私には理奈がマゾなのかサドなのかさっぱりわからないんですが」 「私はノーマルだってば。でもね、好きなキャラじゃなかったら、わざわざバッドエンドを全部回収なんてしたくないと思うんですよ!」 「……ごめん、その意見はよくわかんない」 「だって、死亡ルートやバッドエンドじゃなかったら手に入らないスチルがあるんだよ? それにそれぞれのルートに入らないと、そのキャラの別の側面は語られない場合だってあるしさ。アルはたとえバッドエンドであっても、ラスボス化してもなお、リナリアが好きなんだよ。一途なんだよ。どうして幸せにならないんだ馬鹿ぁ……馬鹿ぁ……」 「……ならアルのルートだけやればいいでしょ。あんたがアルが不幸なルートを仕立てて見てるんでしょうが」     
/914ページ

最初のコメントを投稿しよう!