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激しい痙攣に、思わずどこかを引っ掻いた。
だけど、どこを、だとかそんなことに構っていられないほどの恍惚に、視線は宙をゆらゆら彷徨う。
真帆、真帆、と何度も名前を呼ばれたけれど、どこか遠い。
まだ私の中をかき混ぜている指に、達した直後のまま熱が引かない。
「ああ、んあっ、ああっ」
指を埋めたまま、彼の上半身が私の真上に覆い被さる。片足は彼の肩に引っ掛けられて、大きく足を開かされた。
涙と汗にまみれた顔に、彼のキスが触れる。
指が引き抜かれ、すぐさま固い熱が宛がわれたかと思えば、ぐうっと彼が腰を押し付けた。
「は、あ、あああああ」
奥深くまで押し入られ、騒めく身体がしなり手がシーツを掻き寄せる。
ぼろぼろぼろ、と涙が溢れたのは哀しいとかじゃなくて、嬉しいとかでもなくて、ただただ彼の熱に身体が反応してしまう。
一定のリズムで、彼が腰を引いてはまた沈み、まるで波のように私の身体に押し寄せる。
そうしながら、目尻の涙や、零れた唾液まで舌で舐めて慰める、その仕草はまるで獣のようだった。
獣のようで、優しい交わり。
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