01 創造主

15/69
191人が本棚に入れています
本棚に追加
/689ページ
「そこまで言うのなら、やって貰おうか。でも、あんた……全然占い師っぽくなくて、むしろ怪しいけど、占いなんて出来るの?」 「……一応、占い師ですからね」  美聖は唇を尖らせながら、答えた。  自分でも、役不足は認識している。  占い道具と、参考本で鞄をぱんぱんにして、出勤はしているものの、装いは事務職をしていた頃と変わらないオフィスカジュアルだ。  お気に入りの花柄のスカートと、紺色のカットソー。  無難ではあったが、占い師としての奇抜さは足りず、おまけに、お店のエプロンをしているので、どう見たところで、占い師のイメージから程遠かった。 「やっぱり、私より、トウコさんの方が適任なんじゃないでしょうか?」 「何を言っているのよ。メインは美聖ちゃんなんだから……」 「どうしても?」 「降沢在季のご指名でしょう?」 「……分かりました」   それが仕事なのだから、美聖は堂々と胸を張らなければならないのだ。  美聖は円卓の下から、道具の入った袋を取り出し、中から愛用しているタロットカードを取り出した。  七十八枚のライダーウェイト版タロット。  二十世紀初頭アーサー・エドワード・ウェイトが製作したタロットカードの通称である。     
/689ページ

最初のコメントを投稿しよう!