新学期番格対決

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 互いに威嚇(いかく)し合うような一触即発の緊張した空気を漂わせながら、各々の頭である男らを見守り、時折けん制しつつも静寂を保つ。古くからの伝統といわれている新学期の一大イベントを目の前に、誰もが心を踊らせ、事の成り行きに目を凝らしているのである。 ◇   ◇   ◇  同じ市内にある三つの高校、四天学園と桃稜学園、そして白帝学園はまるでピラミッドの三角形を(かたど)るように位置した隣接校だ。その中でも毛色の異なる白帝学園は優秀な生徒の集うとして有名で、進学校でもあった。  その白帝はさておき、四天と桃稜の二校は素行不良で名をはせてもいた。ゆえにこの二つの学園は犬猿の仲で、しょっちゅう睨み合いや小競り合いが繰り返されていることでも有名だった。  街中だろうがどこだろうがお構いなしの悠々自適、その奔放ぶりに学園側はもちろんのこと、一般市民にとっても又、厄介な存在であるらしい。  その二つを取り持つような役割をしているのが白帝学園なのだが、一応進学校といえど陰の番格は存在していて、表向きは生徒会の面々が仕切っているというところから陰番だなどと噂されてもいた。  このようにして異色の進学校が強面(こわもて)の四天と桃稜の仲裁役を担っているというところも、言わずと引き継がれた伝統のひとつだ。
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