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「ありゃ。それじゃあ、『母の日』じゃなく、『母じゃない日』っスね。……なんで、旦那さんは結婚したんスか?」
「愛してるからに決まってるでしょ!」
こっぱずしい言葉も、深夜の変なテンションの今なら言えてしまう。
「そもそも! 結婚早々、こんな忙しいプロジェクトチームのメンバーに選ばれるなんて思ってもみなかったしぃぃぃ!」
吠えるとちょっとスッキリして、冷静になった。
「ということは、母の私じゃなくて、夫と娘に何かしなきゃだよね? ね、何がいいと思う?」
「ええ? そんなの自分で考えてくださいよ!」
後輩に見捨てられた私は席に戻り、データ入力を再開した。頭の中では『母の日』のことを考えながら。
× × ×
13日、私は早朝からフル回転した。
朝食には炊き立てのご飯、お味噌汁と鮭、卵焼き。サラダにフルーツをたっぷり入れたヨーグルトも用意して、夫と娘の目覚めを待つ。元々、料理は得意なのだ。
「すごぉい、お母さん!」
「久しぶりだな、こんな朝食」
二人は目を丸くしている。
そうだよねぇ。いつもパン食べて牛乳飲んで終わりだもんね……。
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