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ついこの間まで満開だった桜の木が、いつのまにか青葉になり、新緑が美しい季節へと変わっていた。
街道沿いのハナミズキが、白く可愛いい花を咲かせていて、バスの窓からその白と緑のコントラストをぼーっと眺めている。
見ず知らずのお宅の庭先に咲いたポピーの赤色が、目に入る。
桜の季節は、その淡いピンク色がなんだかとても妖艶で、心かき乱されるような気分だったが、それよりもはっきりとした色遣いになった今の方が、落ち着いて感じるのは何故だろう…。
四月の日差しが、バスの窓辺に陽だまりを作っている。
この心地よい空間に、隠れる事なく身を寄せ、その温かさをじんわりと感じる。
この気持ちの良さを、紫外線という目に見えない魔物が邪魔をして、ゆっくりと味わう事が出来なくなったのはいつ頃からだろうか。
でも、今日はそんな事忘れて、この温かさに、癒されたい。
久しぶりの一郎くんと一緒の休日だというのに、済ませなければならない用があり、一人で外出し、バスに揺られながら、陽だまりに身を寄せていた。
あぁー、早く家に帰って、縁側でお茶でも飲みたい。
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