妃になるずっと前だけど……おじい様のお話

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「ほら、お兄様って、なんだかんだと言いながら、私のわがままを聞いてくれるの。 後の調整までちゃんとやってくれるのよ」 ふふとドローレスは笑った。 この子は……誰に似たのだろう?大胆で貴族らしくもなく、自分の意のままに動かす貴族らしい姿は…… 「わがままは悪意にさらされることあろう」 私が張り付く声で言うと…… 「だから、お兄様が調整してくれるのです。ぎりぎりのわがままで。 回避も可能ですわ。 向こうが勝手に解釈をくれるんですもの」 わがままで楽天家である娘は、悪意の刃を向けられなかったらしい。 何と皮肉だ。 調整する息子のカルヴィンが少し可哀想な気がするが…… いや、いいのかもしれない。 笑うと、少し声の通りがよくなったような気がした。
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