プロローグ

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警視庁捜査一課、佐久間班の班長、佐久間光介(こうすけ)と武井優希(ゆき)は、殺人事件の容疑者である城山を捜していた。 城山は京都大学出身のインテリ系ヤクザだが、ロシアンマフィアと手を組んで人身売買をしていた事が、本家である任侠組織、田神会にバレて城山組を潰された挙げ句、破門になった男だった。 「コーちゃん。シスターの遺体も無いのに、何の容疑で城山をしょっぴくの?」 武井が佐久間に尋ねた。 武井は警察庁に入庁二年目のキャリア警察官であるが、身長が百五十センチ弱と言う事も相まって、大人の格好をした美少女中学生と言った感じの容姿だ。 「とりあえず城山をボコボコにして、殴り疲れたら考えましょう」 物騒な発言だが、本来の佐久間は穏やかで腰の低い男である。 佐久間もまた、武井と同じく東京大学出身のキャリア警察官であり、三十一歳になる佐久間の階級は警視。佐久間と武井は幼馴染みだった。 「でも、殺人として立件するにはシスターの遺体が必要よ。それに遺体を見つけてあげなきゃシスターが可哀想じゃん!コーちゃんの力で遺体を探せないの?」 部下と上司の関係だが武井の口調はキツく、会話の主導権は武井にあった。
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