第5章ー2

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* 彼女と僕が京都を離れるまで、できれば毎日会いたいと言い出したのは、いつだっただろう。 桜の散る疏水沿いを歩いていた時かもしれないし、二件目のレトロ喫茶巡りをしていた時かもしれない。 「毎日会いたいけど……そう思うのは、私だけかな? わがままかな?」 控えめに、けれど、自分の意志ははっきりと伝えるのは、いつも彼女のほうだった。 「いや、僕も会いたいよ」 そう言えたらいいのに、「雪さんだけでは……ないと思うよ」だなんて、遠まわしな表現をしてしまう。 不器用で、恋に慣れていなかった。 けれど、彼女は笑って、「隆哉君らしいね」という言葉で受け止めてくれた。 初めて、恋を知った。自分よりも大切な人ができた。 ゆったりと時間が流れるこの街で、僕は君に恋をしていた。
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