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「なんとかするのよ。なんとかっ! あっ、それと制服がいいよ。もし見つかった時、なんとなく言い訳しやすいでしょ」
「‥‥はあ」
あきらめの悪い夕焼けが落ちた。街の生まれたての夜景がきれいだった。乾いた風は、何度も僕をヒューヒューからかった。
「ごめん」
‥‥振り向くと姫野が立っていた。
「どうし‥‥た?」
「トドメをさしに来た」
「‥‥えっ?」
「同じ年の、男子校の子だってさ。エリちゃんの」
「‥‥そう。まあ、覚悟というか、なんていうか、そんなもんでしょ、実際‥‥えつ、なにっ? どうした? なに? 泣いてるのか?」
姫野は鼻をすすりながら近づいて来て、僕にくしゃくしゃの紙を差し出した。
「‥‥残念賞です」
紙を伸ばして、夜景に近づけた。目を凝らす。
〈寂しい時、ツラい時、いつでもどこにでも呼び出せる券 もちろん期間無制限! by ひめの〉
‥‥手書きかよ
おわり
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