プロローグ 堕天の誘惑

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「さあ。どこからくるのかはわかんない」 「本当に、能天気……」 カンパがボソッと呟く。 「でもさ……試してみる価値はあると思うよ?」 「試すって、どうやって……」 カンパがこちらを向いたのと同時、カンパを引き寄せるようにして、抱きついた。 「え? ちょ、ちょっと!?」 焦るカンパの胸元を軽くはだけさせ、首筋にキスをする。 「ちょっと!? 何をやってるんですか!?」 カンパがグイッと私の身体を押し返した。 「おまじない」 「おまじない?」 「アルファが……オメガの首筋に噛みついたら、その噛みつかれたオメガはアルファの番になるって言うじゃない。だから……おまじない」 私の説明に、カンパがため息を吐く。 「あれは俗信ですよ。下らないデマ」 「そうかもしれないけどさ、ひょっとしたら……これでカンパ君、私と番になれるかもしれないかなぁ……なんて」 もう一度、カンパがため息を吐いた。
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