黒髪王子と夜の街

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「仕方ない、京ちゃんはタカヤ君に返すとするか」 「妹のくせになまいき~!」 雅ちゃんと冗談を言い合ったら京ちゃんは何度も謝って、ちゃんと帰るから待っててね、 って迎えに来たタカヤ君の元へ駆けて行った。 「沙羅ちゃんどうするの?ほんとにうちに泊まる?京子から彼のことちょっと聞いたけど、連絡とか入れたほうがよくない?」 雅ちゃんにまで気を遣わせてしまってたんだ、私。 「ううん、私達カレカノでもなんでもないし、向こうから連絡なんてまったく来ないんだよ」 駅へと向かう歩道橋のうえで立ち止まって、苦笑しながらスマホを雅ちゃんに見せた。 「沙羅ちゃん……ストーカー被害とかにあってる?」 「はい?」 スマホを見たら、雅ちゃんをドン引きさせるのに充分なほどの着信履歴があった。 全部、佐野悠介。 そういえばさっき悠君が電話をかけたとたん、私のスマホが鳴り出したんだった。 一回目の着信は、私達が行きの電車のなかで女子トークに花を咲かせてた時間帯。 帰宅して私がいないことに気づいたからだ。
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