失踪~蒼斗side~

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119に連絡を入れ、緊急要請をした後、停止する車を追い越して、炎に包まれる夢街に侵入した。 「これ以上は車では進めません」 「分かった。降りるぞ、二人共」 俺達三人は車を捨てて、外に出た。 俺達の目指す先にあるのは火に包まれた街の中心に聳える高層マンション。 逃げ惑う人の波に逆らい、三人で駆け抜けていく。 辺りに漂うガス臭い香り。 これは相当ヤバいな。 「ボス!!大変です!!!」 俺をボスと間違えた『王龍』の構成員の一人が話し掛けて来た。 「一体何があったんだ?」 「暴動が起きました!!一人が手に持っていたグレネードを爆発させて…」 「グレネードが何かの拍子にプロパンガスに引火して大爆発したんだな…」 隣で訊いていた紡さんが呟く。 「ボスも逃げてください!!」 「俺は事態の収拾に当たる」 俺達は更に街の奥へと向かった。 「夢街に住む連中の中には『王龍』のやり方に満足していない人間が居るんだな」 「『王龍』の諸馬代は高いらしいですから…」 「そうなのか…」 「はい」 「ここは?」 俺達の目の前に見えて来た建物は病院だった。 病院の外にまで、爆発によって負傷した人達が溢れ、野戦病院化にしていた。 「もしかすれば…此処に奏弥も居るかもしれないな」 「中に入りますか?」 「あぁ」 「俺は先を急いでいいですか?」 「紘人お前は蒼斗について行けっ」 「しかし、紡様…」 「此処は病院だ。病院でドンパチする事はないさ。俺は奏弥の身柄を確保する」 「分かりました。行くぞ、蒼斗」 俺と紘人さんとで先を急いだ。
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