裏切りすずめ

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裏切りすずめ

むかしむかしあるところに、お金持ちの夫婦がいました。夫婦には息子が一人いて、母親はその子を大変かわいがりました。 息子は年頃になると、自分で好きな相手を見つけて結ばれました。その相手は美人で気立てがよく、家柄にも問題はありませんでしたが、母親は気に入りませんでした。息子が母親よりその相手を大事にしたからです。 息子夫婦にはじきに子どもができました。生まれたのは女の子でした。 母親は毎日、嫁に「私たちは跡取りが欲しいのに、女の子を産むなんて、ひどい嫌がらせです。私は男の子を産めたのに、あなたにできないのは、これまでの行いがよほど悪いからでしょう」と、反省を促しました。 また、初めての子育てでへとへとになっている嫁に付いて歩いては「ここの掃除ができていませんよ。料理を手抜きしてはいけません。あなたはこの家の嫁なのですから、この家の作法を覚えなければなりませんよ」と事細かに指導しました。 嫁は体調を崩し、子どもを連れてしばらく実家に帰りたいと訴えました。母親は嫁が家庭を切り盛りする能力に欠けているのを察して、それを許しました。     
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