introduction~ひとりごと

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introduction~ひとりごと

 人はなぜ宇宙を目指したか……。  そんなの、知らない。だってあたしが生まれた時には、すでに人類は宇宙で暮らしていたんだから。  さぞかし宇宙にあこがれていたんじゃないのかな?  何故かは、わからないけれど、ね。  昔々、人類の前身が地球で暮らしていた時から、頭の上には空があった。  だから毎日、仰いでいた。  毎日毎日空を見て暮らしていたら、あるときその上に、さらに広くて大きな宇宙というものがあることを知った。  そこに山があるから山に登る人類という種族は、そこに宇宙があるから、そこに行きたくなった。  そんなもんじゃないの。  すごいのは、それを実現しちゃったこと。  憧れを夢のまま終わらせずに、あの手この手を使って、ホントに宇宙に飛び出しちゃったこと。  まあいろいろ失敗やら、苦労はあったらしいけど、それでも諦めなかったのは立派じゃない。  えらい、えらい。  昔の人って、偉大ね。  それで、「さあ宇宙に飛び出そう!」って云ったって、そう簡単にはいかないわよね。「ちょっとコンビニ……」ってのとは、訳が違うもの。  だって、まず、人間は空気と重力が無くちゃ生活できないんだから。短期間なら重力ナシでもイケるみたいだけど、生涯浮遊しっぱなしって訳にはいかないでしょ?  そこで、やっぱり人類ってがんばっちゃうのよ。  宇宙ステーションなるものを足場に、宇宙に人口の浮島(コロニー)浮かべて宇宙移民を始め、それから100年も経たない内に、宇宙空間を高速ドライブでジャンプすることを覚えちゃった。  今じゃ、銀河ハイウェイよ。木星まで、ひとっ跳び~~。  アステロイドベルトは、新興住宅地って。  ……で、あたしもアステロイド宙域(そこ)で生まれ育ったの。
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