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「・・・リアムがレイと一緒に来たって・・?」
メイドがおずおずと告げたその名を、信じられない思いで口にした。
そのまま隣のヴェントを見上げると、彼も渋い顔で僕を見ている。
僕の手は自然と、守る様にお腹をかばった。この間の出来事が頭に蘇る。
「レイはサマエル様が楽園に連れて行ったんじゃなかったっけ・・。裁かれるだろうって・・。」
「そのはずだけど、その後連絡が無いから気になっていたんだ。どうしてリアム様と一緒に?レイとリアム様っていう組み合わせが分からないな。あの二人、面識は・・・昔一度あったか・・。」
「え・・会った事、あるんだ・・。」
そのまま下を向いて考え込んでしまったヴェントを、メイドが困惑した顔で見ている。僕はあの時のレイの事を思い出して、そっと首に手をやった。少しだけドキドキと動悸がしてくる。出血は・・・もうあれから無いけれど、何となく下半身に力が入った。
「・・・俺だけ会って用件を聞いてこよう。どうしてここに来たのか分からないが、あんな事をされた後に会うなんて怖いだろうし、子に影響があったらまずいよな。」
・・怖い?僕はレイが怖いんだろうか。
レイはあの時確かに怖かった。でもあの時、最後には逆にレイが僕を怖がっているように見えた。僕が出血したのを見て、驚いていたっけ。
「僕は、また出血したらと思うと怖いだけ。ヴェントがいればレイの事は怖くない。リアムは一体何考えてるんだろう・・。何でレイと一緒に?・・あの人、一緒にいても何考えてるか分かんない時があるから、何しに来たのか気になる。ほんとは僕も一緒に会いたいけど・・。」
そう呟いてヴェントを見たら、ほんの微かに眉を寄せていて・・僕は気付いた。
自然にリアムの事を親し気に話していたけど、これは墓穴だったかもしれない。ヴェントには僕が発情期をリアムとずっと過ごしていたことを言ってあったんだった。ヴェントは僕なんかより大人だから、その事について理解した風にしてくれているけど・・もしかしたらヴェントにとっては、アイザックよりも会いたくない相手かもしれない。僕がヴェントだったら、嫉妬するし、すごく嫌だ。
しかもこの腹の子だって、リアムの子である可能性もあるんだった。
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