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子供扱いは恥ずかしかったけれど、されたことのないその行為がむず痒くて、抵抗せずに大人しく話を聞いていた。
「それに、帝も同じです。貴方が率先して危険な依頼を受けてくれたから、困ったときにそっと手を指し伸ばしてくれるから、貴方のことを誰よりも信頼するようになりました。帝同士の雰囲気の緩和より、この街は笑顔が増えたのです」
ですよね?と王女に問うと、ええ、と王女も頷いた。
「レイル。貴方以外に、零帝を務められる人は現在いません。貴方が突然やめたりしたら、街は暴動が起こるでしょう。何かしらの理由を説明し誤魔化しても、悲しみの声は絶えません。貴方がやめることを、市民が許さないのです。それに――」
ギルドマスターは僕の耳に手を当て、普段は隠れているものに触れた。
「私の目は、誤魔化されませんよ。一般市民に毛が生える程度と言っていたのに、封具をつけていますね?一旦、取ってみてくれませんか?」
耳につけた、茜色のイヤリングを指してギルドマスターは問う。
バレたことで心で念じると、その封具が2人のにも見えるように姿を現わした。
それを外し、瞬間溢れ出しそうになる魔力を抑え込み、体全体に行き渡らせるようにして制御する。
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