6人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
自分が持っている碧鱗がどれだけ危険を及ぼすものか今一度説いてやろうと、カイが口を開きかける。けれどもロゼのクリクリとした瞳に見つめられると、途端に言葉が止まった。
「……何でもない。とりあえず、もう何でもいいから早く願いを決めてくれ」
「それは分かってるけど……ちなみに、カイだったら何を願うの?」
「俺? 別に、願うことないし、碧鱗はロゼのものだろう」
「もしもの話よ」
ロゼに問われ、頭の中で考える。
(俺の願い。それは……)
ロゼと、ずっと一緒に旅を続けること。ほんの少しの蓄えと、宝の地図、それにロゼがいれば他には何もいらない。
だが、それを言えば「カイだって碧鱗泣かせじゃない」と返されそうだ。だから。
「……秘密」
告げるとロゼは不服そうに頬を膨らませたが、カイは視線を逸らして再び歩き出した。
・
・
最初のコメントを投稿しよう!