空っぽな器

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 人の想像力には限界があると思うんだ。  これは例えばの話なんだけど、例えばいまあなたの目の前に美しい壺があるとしよう。その美しい壺を見かけたあなたは当然壺の中身を見たいと思うよね?  あれ?見たくないって?いやいや、ここはこの話に付き合ってよ。例え話なんだからさ。実際には何も起こらないんだからさ、軽い気持ちでね!いいでしょう?OK?了解?じゃあ、話に戻りましょう!  そこで、壺の中身が見たくなったあなたは当然壺の上から覗き込もうとしますよね。そして、壺の穴に視線を落として自分の陰で光が差し込まない壺の中身を確認します。するとそこにはあなたを凝視する瞳が……って、どうです?あらかじめ想像出来ましたか?不意打ちじゃないかって?いえいえ、これはただの例え話ですから、あくまで想像上から全くはみ出ない想像の世界のお話です。では、ウォーミングアップも済んだ事ですし、実際に壺の中身を確認して見ましょうか!  さっきまでは例えばのお話。じゃあ、次は現実のお話をしましょう。そう、今あなたの目の前にある壺の中身についてのお話です。そうそう言い忘れていましたがあなたに同伴出来るのもここまでです。想像の世界の住人は想像の世界までって決まってるんですよ!では、ここからはあなたの物語です。ちゃんと想像力を働かして壺の中身を確認してくださいね!じゃあ、またね~!  美しい壺がある。それは……色の……のような形をしている。視線の高さに置かれた壺に触れる。壺は……のようなさわり心地で……な気分にさせる。そして、立ち上がり壺の中身を見ようとする。壺の中には……で……だった。……した。それ以降その壺をみる機会はなかった。
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