傘の向こう側

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「こちらこそお世話になっております。お疲れ様です」 ちょっと驚いたような顔をした彼女たちだったが、ブラウンがそう言い、黒髪も「お疲れ様です」と、ニコッと笑ってお辞儀した。 黒髪のその笑顔にドキッとした。 ひっつめの長い髪の毛が、お辞儀をした時に前にハラリと落ちてきて、それをまた後ろへ戻す仕草にも見惚(みと)れてしまった。 ハッとして「どうも」と、またカレーを食べ始めた。 俺たちの会話はそれで終了。 食べ終わって立ち上がった時に、また会釈だけして店を出た。 「二岡さん、さっきの2人のどっちか好みでしょ」 店を出たと同時に言われた。 「なっ!?」 「隣の席、気にし過ぎ」 ハハハッと笑って「出会いは自分で見つけないと」と、さっさと先に講習会場に戻っていってしまった。 村田さんは俺にきっかけを作ってくれた? 年下のくせに本当にスマートでいい(おとこ)じゃないか。 そうだ。自分から動き出さないと、彼女欲しい、作りたいと思っていてもできるわけがない。
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