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「良く来たねぇ!」
と、以前と変わらぬ笑顔で、女将さんが出迎えてくれた。
「あの時はお世話になりました。」
直井と2人、丁寧に頭を下げ、手土産の菓子折りを渡す。
前回と同じように、1日お世話になり、その間に遭難先でお世話になった山奥の集落の方々に連絡を取って頂くと、「是非お越し下さい」と回答があり、翌日僕達は民宿から車で1時間以上山道を走り、その里を訪れた。
前回の不法侵入と違い、今回は事前に連絡を入れてだ。
里の方々も、珍しい客人を気持ち良く迎え入れてくれた。
季節も初夏を迎え、前回のような雪もほとんど無い。
これなら気持ち良く泊まれそうだ。
今回も里長の家に泊めてくれると言うので、玄関の呼び鈴を押すと、中から小さな男の子が出てくる。
「…こんにちは。凛太君かい?」
「うん。こんにちは。いらっしゃいませ。」
言って、笑顔を見せてくれる。
「大きくなったね。」
前回来た時は、まだ4つくらいだった。
あれから3年…もう小学校に上がった筈だ。
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