スコールの傘

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スコールの傘

 いよいよもって化石燃料の枯渇が叫ばれて久しい。  石油が無くなっても、それに代わる埋蔵燃料はあるのだと言われているが、いずれも限り在る資源には変わりない。  使い慣れて、依存しきったエネルギー問題の危機に瀕し、人類は思い切った新エネルギーの使用開発へと舵を切る必要に迫られた。  いや、前々からこういう事態を予測して研究してきた一人者というのは、居るものでその中から、実用化に耐えうる技術があって初めてスポットが当たるのかもしれない。  雨雲の隙間から差す、光が……差し込む様に。  石油に代わる様々なエネルギーの捻出方法が編み出された。中には実用化するに長い年月を掛けた技術もある。僕はあまりそのあたりの歴史に詳しい訳ではないけども……。  今、僕らの頭上に在る『あれ』もその一つだ。  本日の天気は晴れ、空には僅かな雲がたなびくばかり。だというのに……今日はスコールの傘のマークが出ていた。  スコールの傘?何のことかと思うだろう。  スコールの傘とは、今日、僕らの住むこの地域では大体2時間弱程度の間『人工日食』が起こるという予報の事だ。     
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