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柳 総介
二年前、『元』友人夫婦の新居に行ったときの話だ。
初めて訪れたときの生ぬるい不快感を、今でも覚えている。
「おう、久しぶりだな」
白を基調とした広い玄関で出迎えてくれたのは、大学の同期である吉野圭司ことケイだ。サークルでやっていたテニスをまだ続けているらしくこんがりと日焼けしている。ひょろりとした俺と正反対で、背は同じだが体格がいい。
「一年ぶりだっけ? 前に呑んだのって」
話していると、玄関の正面にあるドアが開いた。リビングに通じているらしい。出てきたのは、同じく同期だった美浜明日香だ。四年前に卒業し、二年後に吉野明日香になった。
「総介いらっしゃい。どうどう? この家」
するりとケイの横に立つ。いつも元気なイメージのある彼女は、今日も目の覚めるような赤のスカートを履いていた。母親になったからなのか、学生時代にはロングヘアと短めのスカートだった彼女が、長めのボブカットとマキシ丈スカートになっている。
「良い家だなあ、ほんと。しかも角地って高いんだろ?」
「ふふふ」
二人が顔を見合わせて笑った。なんだか意味深だ。
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