第二章 死体

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 遺体を荷台に収容すると、大友は上司に報告した。 「ご苦労。ではセンターに戻るように」  上司のルート操作により、車は食料センターへと動き出した。センターに運ばれると、遺体は食品加工され、食料となる。  黒田が「やれやれ」とため息をつき、シートにもたれかかった。 「少し寄り道していいか?」大友が言った。 「なぜ?」 「どうしても確認したいことがあるんだ。頼む」  黒田はその言葉に驚いたが、うるさい嫁のいる家に帰るより、大友に貸しを作った方が良いかと思い、その願いを聞き入れた。  車は目的地近くの駐車場に着いた。 大友は、荷台の中で眠る女性の顔や肌に付着した血を、丁寧に拭き取った。 「もういいだろ?」  黒田は荷台の外から、大友に声をかけた。 「ああ」  大友は遺体を残し、荷台から降りた。 「荷台の鍵を閉め忘れるなよ」  黒田は頷き、ロックを掛けた。 「ここら一帯は治安が悪そうだ。下手したら盗まれるぞ」  車を止めた場所は、低所得者の住まう住宅街だった。 「盗んでも正規の食料センターで加工しなきゃ意味ないだろう」と黒田がぼやいたが、「最近の闇加工業者の腕はだいぶ上がったらしいぞ」と大友が答えた。
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