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「お婆さん。事故現場付近の丘に、お爺さんと孫娘さんの三人で、よくピクニックに来られてましたよね?」
大友は老婆が聞き取りやすいように、ゆっくりと話した。
「ええ。元々は私たち夫婦の思い出の場所で……」
老婆は驚いたように大友を見た。
「自宅が近いもので。よく休日になるとお三方を窓から見かけたものですから」
「そうですか。爺様が生きてた時は、本当によく行ってました」
老婆の話を聞き、大友は姿勢を正した。これからが本題だった。
「それでですね、これは憶測なのですが……」
「はい」
「お孫さんは、亡くなったお爺さんを思って、ガードレールに突っ込んだのではないかと」
「ど、どういうことでしょう」
黒田も大友が何を言いたいのか分からず、困惑した表情で見守る。
「孫娘さんはあえてガードレールに突っ込んだんです。あの思い出の丘を、家族の大切な丘を守るために。結果的に、故障で衝撃吸収バッグは出ず、亡くなりはしましたが」
そこまで聞くと、老婆は顔を抑え、「あの子、爺様を亡くした私をよく慰めてくれていたんです。あの丘はずっと元気だよ。爺様は亡くなっても、三人の時の思い出は永遠だから。また行こうねって……」と言って、涙をポロポロとこぼした。
「お婆さん……。俺は、自分の身を捧げて家族を想う、そんな女性に、敬意を払いたくてここに来たんです」
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