お孫さん、お連れします

19/36
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「あーうん、結婚してますよお」  アンナは煮しめをつまんで言ってくれた。おお! ついにあの子にも幸せが! よっしゃあ! 「マジで! 相手はどんな人?」  真弓ちゃんがつんのめって聞く。由美子もつんのめり始めた。 「たぶん外国の人でしょ? 何人?」  アンナは宙を見て、しどろもどろに答えている。 「ズヴェッパポロナ・アグノフェーダ・ゴランチャッソドゥンゴ星の、ヌフェルンネベルン共和国の、ガリアン町」  どこだ! 「ズヴェッパポロナ・アグノフェーダ・ゴランチャッソドゥンゴ星は、銀河系の中にある星です。綾様は地球外の方と出会って、結婚されました」  スーツの女が解説する。え、つまり、どゆこと? 「はーあ? 宇宙人と結婚だあ? ホラ吹いてんじゃねえよ」  お義兄さんは完全にでき上がってる。俺は水を差し出した。 「宇宙人? やっぱ古代の人だねえ。そういう言い方するんだ」 「アンナさん。この時代、地球は他の星と交流してないんです。自分たち以外の生き物が宇宙にいるなんて、信じてない人もいました。無理もありません」  あきれ加減のアンナに、スーツの女が解説した。俺としては「古代」呼ばわりされたのが気になったが。 「え、じゃあ綾は宇宙行くの?」  由美子が聞く。アンナは首を横に振った。 「ううん。今は家族みんなで地球住み」  よかった。少し安心した。ついこないだまで会社員だった娘が、急に宇宙行くのは心配だからなあ。宇宙飛行士の訓練もろくにしてない。  そうなると、向こうから来たってことか。いつかはズボッバ何とか星の人が「娘さんをください!」って来るわけだな。心の準備をしておこう。 「すごいなあ、綾ちゃん。スケールがでかいねえ。どうやって宇宙人と出会ったんだろなあ。あのさ君、お母さんのなれそめって知ってる?」  ヒロシくんがアンナに聞く。アンナはかまぼこを飲み込んで答えた。 「ネトゲ」
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!