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「あーうん、結婚してますよお」
アンナは煮しめをつまんで言ってくれた。おお! ついにあの子にも幸せが! よっしゃあ!
「マジで! 相手はどんな人?」
真弓ちゃんがつんのめって聞く。由美子もつんのめり始めた。
「たぶん外国の人でしょ? 何人?」
アンナは宙を見て、しどろもどろに答えている。
「ズヴェッパポロナ・アグノフェーダ・ゴランチャッソドゥンゴ星の、ヌフェルンネベルン共和国の、ガリアン町」
どこだ!
「ズヴェッパポロナ・アグノフェーダ・ゴランチャッソドゥンゴ星は、銀河系の中にある星です。綾様は地球外の方と出会って、結婚されました」
スーツの女が解説する。え、つまり、どゆこと?
「はーあ? 宇宙人と結婚だあ? ホラ吹いてんじゃねえよ」
お義兄さんは完全にでき上がってる。俺は水を差し出した。
「宇宙人? やっぱ古代の人だねえ。そういう言い方するんだ」
「アンナさん。この時代、地球は他の星と交流してないんです。自分たち以外の生き物が宇宙にいるなんて、信じてない人もいました。無理もありません」
あきれ加減のアンナに、スーツの女が解説した。俺としては「古代」呼ばわりされたのが気になったが。
「え、じゃあ綾は宇宙行くの?」
由美子が聞く。アンナは首を横に振った。
「ううん。今は家族みんなで地球住み」
よかった。少し安心した。ついこないだまで会社員だった娘が、急に宇宙行くのは心配だからなあ。宇宙飛行士の訓練もろくにしてない。
そうなると、向こうから来たってことか。いつかはズボッバ何とか星の人が「娘さんをください!」って来るわけだな。心の準備をしておこう。
「すごいなあ、綾ちゃん。スケールがでかいねえ。どうやって宇宙人と出会ったんだろなあ。あのさ君、お母さんのなれそめって知ってる?」
ヒロシくんがアンナに聞く。アンナはかまぼこを飲み込んで答えた。
「ネトゲ」
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