第一章 夜半の邂逅 3

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 気づけば夜の神社に降る雨は、小雨になってきていた。  理夏は頬をゆるめたまま、眞尋に向き直る。 「いや……ひとつ理由が出来た、ありがとう」 「俺のほうこそ、ありがとな」  眞尋のなかで理夏の認識が変わっていく。 (……最初はやべぇヤツかなぁって思ったけど……確かに、抱えてるもんは普通じゃなかったけどよ……)  第一印象よりもずっと純粋で真面目な少年だった。  眞尋の視線の先で、理夏は神楽殿の外を見る。 「終わったのかもしれない」 「おう、そういや、音がしねぇな」  ただ静かな夜と化していた。理夏はカーディガンを掴む。 「様子見にいくか」 「そうだな。電話通じねぇし、理夏の組の人たちも心配してっかもなぁ」  眞尋も濡れた着物を抱え、草履を履いた。理夏はスニーカーを履く。  神社を離れる道程は、行きと違ってスマホの明かりがないから、常闇(とこやみ)だ。  歩きながら、眞尋は理夏の手首を掴み、そのまま手を繋ぐ。暗闇の中でも、理夏がこちらを見たのがなんとなく分かった。眞尋は前を見たままで告げる。 「離れんじゃねぇぞ。危ねぇから」 「さすがに、二度も転ばない……」 「や、俺が転ぶかもしんねぇし」 「俺は眞尋の杖じゃない」と、言いながらも、理夏は軽く笑っている。     
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