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「優菜ーーーー!」
少し離れたところから、友達の声が聞こえてきた。
「…見つかる前に、僕どっか行くよ。」
そう言って立ち上がろうとした彼の手を掴んでいた。
「ちゃんと、隣に居て!」
私に気づいた友達が近づいてきて、目を丸くした。
「…ちょっ、優菜…なんで宮原と一緒にいるの?もしかして、罰ゲームかなにか?」
「違うよ。」
「でも、宮原だよ。」
「私が!!」
友達の言葉にカチンと来て強く言い返そうとした時、私の言葉を遮ったのは彼だった。
「僕が、誘ったんだよ。鳴瀬と付き合いたくて。」
サラッと口からこぼれ落ち彼の言葉が、ゆっくりとチョコレート様に甘く溶けていく。
「へっ……ぇっ…あっ……ち、違う、私が付き合ってほしくて…もっと早く言いたかったんだけど。」
戸惑う私の手を彼の手が少し強い力でギュッと握りしめてきた。
「……鳴瀬は、人のこと馬鹿にしたりする子じゃないから…彼女が困ること言わないで上げて。」
「あっ、なんか…ごめんね、優菜。」
「ううん、私も好きなこと言ってなかったから。」
「学校で話聞かせてね…宮原もごめん。」
それだけ言い残して、友達は去っていった。
「変な告白になってごめんね、鳴瀬。」
「…びっくりしたし……嬉しかった。」
「勉強教えながら、一緒にいるのが嬉しくてさ。本当は、言わないままでもいいかなって思ってたんだ。」
下を向いていた彼の顔が上がり、ゆっくりと目が合う。
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