サクラの木下で

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その話を聞いて、私はショックのあまり言葉が出てこなかった。 「そしたら、俺が大学卒業しても、好きだったらまた、告白しに来てって言われたんだ。だから、俺は教師になって、この学校に戻って来て、あのサクラが咲いた時、告白しよって決めたんだ」 「春くんの好きな人って、先生・・・だったの?」 「あっうん。国語の西沢先生」 名前を聞き、衝撃を受けた。 私は、西沢先生は綺麗でおっとりとした大人の女性。 生徒からも、人気のある先生。 そんな人に、私が適うわけがない。 「次は、叶うといいねぇ。私応援する!」 私は、動揺を隠して普段通りに振舞った。 「まじ、何だか叶に応援してもらうと、叶いそうだよなぁ」 「うん。絶対に叶うよ」 そう言って、泣きそうなのを我慢して、平気なフリをし一緒に帰った。 私の気持ちは、言えないまま高校3年間の恋が終わった。 それから何年かして、春くんと西沢先生の結婚の招待状が届いた。 その招待状を見て、心から嬉しかった。 「良かったぁ。春くん叶ったんだねぇ」 春くんと西沢先生の結婚式で、私は言えなかった気持ちを伝えた。 「私は高校3年間、春くんの事が好きだったよ」 そう伝えた時の春くんの顔は、ものすごく驚いた顔をしていた。
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