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【3月24日(木)25日(金)】
夜中、布団の中に美香ちゃんが入ってきたので、目が覚めた。時計を見ると1時半だ。
「どうしたの」
「いやな夢を見たので、ここに朝まで居させてください」
「どんな夢?よかったら聞かせて。美香ちゃんが家へ来たころだったけど、僕の布団に入ってきたときに夜中に僕にしがみついてきたことがあったけど、その時は怖い夢を見ているようだった」
「そのうち、話します。お願いします。抱いてくれとは、いいませんが、抱きしめてもらえませんか?」
「うーん。抱き締めるくらいはいいか。それで、悪い夢をみないで眠られるのなら。じゃあ、背中を向けて、後ろからなら抱きしめてあげる」
背を向けた美香ちゃんを後ろから抱きしめる。抱き締めるだけなら、みだらな行為にはならないだろう、それも安眠のためと、自分に言い聞かせているのに笑ってしまう。本当は抱きたくてしょうがないのに、俺も男だなあ。
抱き締めた美香ちゃんの身体は柔らかくて、温かい。美香ちゃんは廻した腕にしがみついている。美香ちゃんの甘いような匂いがして、これは悪くないなあと思っているうちに寝入ってしまった。
翌朝、目が覚めた時には、美香ちゃんは布団にいなかった。もう起きて、キッチンで朝食を作っていた。
「昨晩はありがとうございました。おかげでよく眠れました。邪魔で眠れなかったのではないですか、すみませんでした」
「いや、柔らかい湯たんぽを抱いているみたいで、温かくてよく眠れたよ」
「じゃ、毎晩いいですか」
「だめ、眠りながら無意識的に美香ちゃんを抱いてしまうかもしれないから、絶対にだめ。昨晩は特別でこれで最後」
「無意識でそうなったらうれしいけど、残念ですが、圭さんは絶対そんなことないと思います」
「大体想像がつくけど、嫌な夢、早く見なくなるといいね」
「・・・・」
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