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乗り気じゃない年末パーティー(ルイーズ)
始まりは二年前、後輩に誘われた騎士団の年末パーティーだった。
騒々しいのは知っていた。当然だ、騎兵府が中心となるパーティーだ。彼らは毎年一年を無事に送れた祝いにこの日を過ごす。これは言い換えれば、今日の日まで生き延びた祝いなのだ。
ルイーズがこの会に出席を遠慮するのは、そうした事情があるから。死と隣り合わせの彼らに比べ、自らは戦の前線に出る身でもない。危険は危険だが、騎兵府と比べれば恥ずかしいレベルだ。
まぁ、騒々しいのも疲れるというのもあった。
だからこそ当日は不満だった。
だがその日、彼は運命的な出会いをしたのだ。
妖精が舞い降りたのかと思った。
淡い緑色のカクテルドレスを纏った華奢な少年は、羞恥に体をほんのりと染めていた。柔らかそうな金色の髪は色合いも強くなく、優しい色をしていた。長い前髪をピンで留め、見える大きな緑の瞳は頼りなく揺れていた。
膝丈のスカートの前を恥じらう様に隠すモジモジとした姿はとても愛らしく誘っているのかと思う。
こんなにも恥じらうのに、仲間から声をかけられると応じるように照れ笑う。
理想的だった。これまで近衛府として幾人の貴族の子息を見てきたが、このように愛らしく、守りたいと思う人に出会った事はなかった。今もこうして恥じらう彼の側に行き、寒そうな肩に上着を着せかけてやりたい。
いや、正直他の男共にみせる事が我慢ならないのだ。
これがルイーズとコナン・オーウェンとの出会い。
ルイーズはこの日のフリータイムでコナンを呼び止めて、そして愛を伝えたのだ。
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