夢の中の邂逅

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夢の中の邂逅

『・・・・ロ、・・・・・ヒロ、どこ・・・・・? 返事、して、・・・・。 チ・・・・・・ヒロ、・・・・・・・にいるの?』 夜中、目が覚めた。 夢の中に女の人が出てきて、私を呼んでいたようだった。 とっても切なそうで、目が覚めた時、私は泣いていた。 覚えてないけれど、あの女の人は私の身内なんだと思う。 お母さん? おねえさん? おばさん? そんな感じの人。 私はどうして今、ここにいるんだろう? 私は誰? どこからきたの? そう考えると、胸の辺りが痛くなる。 次々と涙がこぼれてくる。 昨夜寝る時に、マティアスさんはベッドが二つあるんだからって別々に寝てしまい、私のすぐ隣には居ない。 寂しい。 涙がこぼれてくる。 胸が張り裂けそう。 マティアスさんにくっつかないと、私がいなくなってしまいそう。 私は寂しさのあまり、マティアスさんのフトンに潜り込んでしっかりと抱きついた。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ん、、、、うわっ、ひ、ヒロ?!』 眠っていると突然ヒロが潜り込んで、くっついてきた。 『こら、ヒロ、お前はあっちのベッドで寝なさいって、え?泣いてるのか?! どうした? どこか痛いのか?』 ヒックヒックとしゃくりあげながら、切なそうに泣いている。 『どうした? 怖い夢でも見たか? 痛いところはないか? うん、俺がいる。 大丈夫、ずっとこうしていてやるよ。』 布団の中で華奢な体を抱き締める。 時折背中をさすったり、トントン叩いたりしてやる。 『マティ、アス、さん、どこにも、行かないで?』 『ああ、どこにも行かない。 ヒロとずっと一緒だ。 だから安心して寝ろ。』 トントン叩いてやるとしゃくりあげながらも、眠りに引き込まれたようだった。
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