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遺憶-1-
失くしたい記憶がある。
友人と喧嘩したり、仕事で大きな失敗をしたり、愛しい人を亡くしたり――。蓋をしてしまいたい記憶や思い出は生きていく上で必ず存在しうるだろう、と誰かが言っていた。
そんな人がいなければこんな店は、あるいはこんな能力は必要とされなかったし、こんな噂も立たなかった。
記憶を取り出し、本におさめることができる店がある――。
そんな噂を聞きつけて、今日も今日とて人がくる。
失くしたい記憶はどんなものですか。
それは本当に失くしたい記憶ですか。
それは、本当に失くしていい記憶ですか。
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