第1話 ~一応、異世界転移らしい~

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第1話 ~一応、異世界転移らしい~

 ~プロローグ~ 「――本当にいいのですね?」  それを聞いた少女は迷うことなく首肯(しゅこう)する。 「そうですか……。国王夫妻が了承したのなら何も言うまいと思っていましたが、あなたを孫のように思っていたわたくしは、とても寂しいです」   「ごめんなさい。でも、これ以外考えられないの。――だからお願い」    そのときがくるまで私はずっと、       ずっとあなたのことを想い続けるから――……     第1話 ~一応、異世界転移らしい~    ――ああ、確かに異世界転移を望んでいたさ。  だってそうだろ?  異世界では、『チートに無双でハーレム』ってやつが諸手(もろて)を挙げて待っているんだ。  それはWEB小説におけるファンタジーの常識みたいなもんで、時代の潮流に影響されない流行のテンプレート。  そんな小説ばかりを好き好んで読み漁っていれば、誰だって望むもんさ。  自分も異世界に行ってみてーな、ってさ。
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